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商船テナシチーの一人旅のレビュー・感想・評価

商船テナシチー(1934年製作の映画)
4.0
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作。

フランスの作家:シャルル・ヴィルドラックの同名戯曲のジュリアン・デュヴィヴィエ監督による映画化作品で、出稼ぎのため出国を決めた二人の若者の別れと旅立ちを描いた人間ドラマの佳作です。

パリで暮らす失業中の二人の若者が、現状打破のためカナダへ出稼ぎに行くことを決意し、カナダ行きの商船が出る港町に辿り着くが、出航直後に船が故障し港に引き返す羽目に…というお話で、船の故障により港町で一時停滞を余儀なくされた対照的性格の二人の若者と宿屋で働く若い娘との恋の三角関係のゆくえとそれぞれの旅立ちを見つめていきます。

二人で一緒に出国するはずが、港町での予期せぬ停滞によって人生の舵が正反対の方向に分かれてしまう二人の若者の行く末を描いたビターな青春ドラマで、偶然に翻弄されてままならない人生の本質を悲哀的に浮かび上がらせたデュヴィヴィエ初期の佳作であります。
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