真鍋新一

代貸の真鍋新一のレビュー・感想・評価

代貸(1968年製作の映画)
3.5
U-NEXTの無料期間中、他のどこにも入ってないレアなヤツを観ようと選んでみた。

濃いキャラだらけの東映のなかにあってなかなか作品や役どころに恵まれていなかった城野ゆきが清純なヒロインとしてその魅力を発揮している。思えば梅宮辰夫もヤクザ者のくせになんの説明がなくても純愛ムードが成立する稀有な役者だった。

そしてなんといっても日活からやってきた白木マリ。初登場シーンでは日活時代同様にショットガンをいきなりぶっ放したのでうれしくなってしまった。役どころは満州に消えた鶴田浩二を待ち続けている役で、頼れる姐御。和服もビシッとキマっている。日活退社後の作品では代表作かもしれない。

終盤、ひとつのフレームに今井健二、梅宮辰夫、大友柳太朗、鶴田浩二、若山富三郎がギュウギュウに収まるシーンがあり、画面の圧がとにかくすごかった。

観終わってそれなりに満足してから公開年を確認したら、1968年だった。これはかなり時代遅れかもしれない。悲しいかな。

若山富三郎のキャラクターは、任侠映画のお決まりの流れのなかでなあなあに扱われているが、白木マリに夜這いをかけてる場面で吐きかけられた唾をご褒美とばかりにペロペロするような実はサイコな野郎で、彼だけが1968年のムードを映画に持ち込んでいた。旅館を乗っ取りに来た弁護士と話を聞いている白木マリの間に意味なくナイフを投げ、特に拾われることなく話が進行するシーンがシュールだった。
真鍋新一

真鍋新一