イルーナ

ドルフィン 太陽の秘密と夢の冒険のイルーナのレビュー・感想・評価

1.1
「何だこのチープなグラフィックは?!」
それが第一印象でした。ここで検索した時に作品の存在を知ったのですが、制作年(2009年)から想像がつかないほど異様にショボイ絵。
日本で発売&レンタルリリースされたのは2015年だから、なおさらチープさが目立っていたはず。
しかも海外のマスコットキャラにありがちな、変にリアルで不気味の谷にハマったようなキャラデザ。
ここでのレビュー人数も私を入れてようやく16人。しかも評価も非常に低い……
これは気になる!ということでアマプラで観てみました。


🐬🐬🐬
かつて世界には、夢があふれていた。海の生き物たちも、平和で幸せに暮らしていた。彼らは心の声に正直だった。
しかし、次第にすべてが変わり始め、ルールが現れると、心の声を忘れてしまい……
そしてある日、気づかないまま海の生き物たちも、夢を見なくなっていた。
昼も夜も漁で忙しくなり、物質的な幸せを求めた。生きるための漁が、魚を取るための目的となった。
しかし、それを変える者が現れた。彼は周囲の声よりも、自分の心の声に正直だった。
彼は夢を見続け、身の危険も顧みずに夢を追った。自分の運命を探し続ける彼は、すべての生き物たちの、夢の扉をも開くことになる。
これは、そんな彼の物語です。
🐬🐬🐬


……OPのナレーションを書き出してみたのですが、もうこの時点で地雷臭がプンプン。
「夢」「運命」といった手軽に壮大さを感じさせるけど具体性のないワード。ルールや物質的幸福への否定的な扱い。
いやー、初っ端から宗教色、自己啓発色が強い……
旅に出る目的も、いきなり海の神からの啓示を受けたから、だもんな……しかもそのメッセージを届けに来たマンタが「天使」と名乗っているから徹底している。
それから道草を食うたびに神様が説教してきてずーっと夢、夢、夢と、とにかく「夢」のゴリ押し。具体性が一切ないから、着地点すらロクに見えてこない。
ピクサーの海洋ものの二作『ファインディング・ニモ』は「さらわれた子供を助けるために人間世界へ行く」という切実な理由があったし、『あの夏のルカ』は「二人で一緒に旅するためのベスパを求める」と、子供のひと夏の冒険で知らない町に行く感覚だった。
一応本作のダニエルには「理想の波に乗りたい」という目標があるのですが、世界を変えるための壮大な旅に釣り合っているかというと……
目的というものの重要性を改めて認識させられました。

また、ジャケットの時点でヤバかったグラフィックですが、キャラクターのアップや背景を見たらさらにヤバい。
背景は「これ20世紀のCGだよね??」と言いたくなるし、特に小魚とか目がやたらでかくてギョロついてて本当に不気味。
他にも、ジャケットにはヒロインとおぼしきイルカが主人公と並んでいますが、出番はほんのわずかで、実際の友達はイカです。
そのイカのカールも役に立たないくせに、危機を乗り越えるとヒーロー気取りで手柄を自分のものにするかのような態度。
よく最後まで喧嘩すらしなかったな……まあダニエル自体が完成されてて成長の余地がない感じだったけど。
あのタコは一体何だったんだ?他の魚を奴隷労働させていたらしいけど、作中明確な悪さしてたっけ?むしろ太陽について丁寧に教えてくれてたのですが……
言い伝えと現実の違いを表すキャラにしても、悪役としては弱い。奴隷を解放されてカンカンになったけど、結局追うことすらしないし。
ボスキャラと思われた夢食いルーシャスは、決着の付け方がめっちゃ尻すぼみです。
おかげで盛り上がるところがないまま終了してしまった。

にしても、群れに適応できずに追放される夢追い人。そこからだんだんスピリチュアル的な内容へと突き進んでいく。
この内容に何か見覚えがあるなと思ったら、『かもめのジョナサン』だった。
あれも中学時代に青春ものかと思って読んだら宗教感バリバリで「?」となったのですが、あとがきでもかなり否定的な書き方をされていて衝撃を受けた。
本作も原作があるとのことですが、やはり自己啓発っぽい内容なのでしょうかね……?
と思っていたら、原作は『かもめのジョナサン』の作者に盗作で訴えられていたらしい。本当に根本からダメな作品だったんだな。

https://vicio2b.jimdofree.com/art%C3%ADculos/contras-de-la-animaci%C3%B3n-3d-en-el-per%C3%BA/sergio-bambar%C3%A9n-plagio/
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