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星の子のkumoのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
3.5
 芦田愛菜ちゃんの演技が魅力的で引き込まれる。宗教に足を突っ込んでいる人の人生を少し覗き見する感覚で鑑賞。宗教が家庭に与える影響について考えさせられた。
 子どもにとっては何があっても親は親で、親が信じているものを否定し、自分を含めた家族を混乱に陥れることは子にとって負担が大きい。親だから宗教を信仰してはいけないというわけではないが、子どもにはいろんな考え方があることを伝えた上で自分の考えを話すべきだと思う。また、何を信じるのかは個人の自由だが、自分が信じるものが常識だとは思わないようにしようと改めて思った。
 多かれ少なかれ宗教団体も金銭を獲得できないと活動出来ないから、信者から吸い上げるのは致し方ない面はあるのだろう。しかし、宗教のせいで貧乏だと他人から言われるような状況は健全ではないと思う。ただ、たまたま追い込まれた状況下で救われた(と感じた)ものに対して盲目的になってしまうのは仕方のない面もあると思うので一概に信仰を責めることはできない。それよりも、化学的根拠のない効果をあると見せかけて販売することを取り締まる法律の重要性を痛感した。
 この映画の登場人物達はまだ穏やかな信者の部類なのかなと思った。裕福ではないが最低限の衣食住を確保しているし、子ども達にちゃんと愛情を注いでいるように思える。また、自分たちが良いと信じるものを勧めはするが、狂気的な勢いではなく(それがまたやっかいなのかもしれないが)良心で言っている印象。そして何より娘が、親の信じていることは一般的なものではないと理解して一線を取りながらも否定せず、親としてはちゃんと愛情を持っているのがすごいなと思った。
 この親子や娘とその友達の様子を見ていると、お互いの思想を否定せず、思いやることができれば違う思想を持っている人同士でも共存していけるのかなと思った。もちろん他人の権利を侵害しないことを前提として。
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