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セイント・モード/狂信のNoAceJustYouのネタバレレビュー・内容・結末

セイント・モード/狂信(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

2024/02/18鑑賞。70点。
前半は睡眠導入のような映画だが、モードがキャロルを追い出すところから不穏な空気が立ち込め、アマンダによる信仰心の嘲笑以降は目が離せない。
正直なところ似たような作品はあるが、クレジット直前の悲痛な表情と叫びでこの作品は頭1つ抜きん出た。
キリスト教が絡むアート映画にありがちなダラダラとした展開は作らず、90分以内に要所をまとめた点も見やすい。

〈あらすじ・ネタバレあり〉
イギリス。
看護師・ケイティは、患者の1人を救おうと心臓マッサージをするものの、失敗して死なせてしまう。
退職したケイティは救いを求めて神に縋り付く。そしてケイティは、モードと名を改めてフリーランスの看護師として働くことに。

敬虔なカトリック教徒となった看護師・モードは、悪性リンパ腫を患う49歳のダンサーで富豪・アマンダをサポートするため、彼女の邸宅で住み込みで働くことになる。

モードの熱心なクリスチャンぶりは、アマンダにも強く影響を与える。精神底にも肉体的にもアマンダをサポートする中で、2人は看護師-患者の関係を超えた絆で結ばれていく。

アマンダは、キャロルという娼婦を夜な夜な呼び出していた。モードは、キャロルの存在がアマンダの治療の妨げになると思い、「もう会わないで欲しい」と伝える。
しかしキャロルは、自分が追い出されたことをアマンダに相談し、自分に隠れて勝手なことをしたモードを蔑むようになる。

アマンダの誕生日を祝うため、邸宅で大規模なパーティーが行われる。来客者の中には、キャロルもいた。
アマンダは、モードの信仰心を揶揄うような発言をする。我慢できなくなったモードは、アマンダに平手打ちをして解雇される。

信仰心が揺らいだモードは、露出の激しい服装でパブに繰り出す。名前も知らない男をトイレで手コキし、元カレの友人と勢いでセックスしてしまう。

再び神に助けを求めた時、モードに接触してきたのは神のフリをした悪魔だった。
モードの心の弱さに付け込み、悪魔は復讐するよう囁く。

モードは、アマンダの邸宅に侵入すると寝室で眠る彼女に接触する。
アマンダは「あなただって神はいないと分かってるはず。本当に神を信仰してるなら、それだけで満足する。それなのにこうして私の前に来たのは、孤独を感じているからだ」と。
悪魔に騙され、アマンダこそが悪魔だと信じ込んだモードは、彼女を滅多刺しにして殺す。

1人で海岸に来たモードは、アセトンを浴びると自身に火を放つ。
背中には天使の翼が生え、モードは喜んで死を受け入れる・・・が、正気に戻ったモードは苦痛の表情を浮かべ、悲鳴を上げながら死んでいく。
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モードは神を信じ、人々を癒す天使として死ぬことを期待していたが、そんなことは常識で考えてあり得ない。
ラストの苦痛の表情は、①神は存在しないことを、死の寸前にモードが気付いた②アマンダを殺したため、地獄行きになること
を示唆している
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