オトメチカ

プロミシング・ヤング・ウーマンのオトメチカのレビュー・感想・評価

4.5
鼻に詰まるクッソ重い涙が出た。独りきりでかさぶたを何度も何度も剥がし続け、傷痕をずっと見つめ続けてきた少女の復讐譚、だと思った。見た目は大人、頭脳も大人、でも少女でしょう彼女。親友とはんぶんこにできるデザインの安っぽいハートのペンダント、すべて違うパステルカラーに塗られた手の爪、お姫様みたいなピンクのお部屋、酷いおぞましい出来事で親友を亡くしてから、彼女の時間は子供のまま止まってしまったのか、それとも意図的に止めてしまったのか、ティーンみたいなかわいい小鹿柄のラグランロンTに袖を通す三十路女のメンタル思っただけで、こう、打ちのめされたよ。
性暴力の周辺に渦巻く「男同士の連帯感」も「管理者側の事なかれ主義」も「女同士の笑いで流さないとやってけないメンタル」も全部醜悪に描いててとても良かった。単なる爽快復讐劇で、フィクションの中だけで気持ちよく憑き物落としされても現実の魑魅魍魎は消えてないからね。これくらいの後味の悪さで、自分にも消えないかさぶた残るくらいでいい。はースッキリ、してしまっては現実に持ち帰って考え続けられない。のできっとこれはいい塩梅。
天晴れキャシー、骨は私らが拾うから後のことは任せろ。
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