認知症を患う父レオ(ハビエル・バルデム)と介護する娘モリー(エル・ファニング)のある1日。
現在と、父のメキシコ時代の出来事、ギリシャに行った時の出来事が入り交じる。過去のエピソードはレオの選ばなかった道の想像。
結局、レオはいつも逃げていた人生だったように思う。息子を亡くしたことも、作家として成功しないことも周りのせいにしてプライドを捨てきれず自分勝手に生きてきた。その結果、妻にも離婚され殺風景なアパートでの孤独な暮らしになっている。だから人生の後悔が回顧となって脳裏に浮かぶのだろうか。
娘の名を一度だけ呼ぶシーンに感動しました。
最後に娘モリーが選んだ道。それは、サリー・ポッター監督自身の経験による後悔と苦悩なのだと思う。
『ファーザー』は傑作でしたが、私はこちらの方が認知症が怖いと思えた。ハビエルが若いということもあるのだろう。彼はまだ小説を書くこともできる、恋もできる、娘も若い、人生の半ばで認知症を患う怖さを身近に感じました。
ハビエルがヅラやメイクなしで現在と2つの過去をうまく演じ分けていて主演男優賞をあげたい。娘役のエル・ファニングが天使のように優しくて適役。
資金の問題でメキシコもギリシャもスペインロケ、NYはロンドンロケだそうです。低予算を感じさせないのは『オルランド』でも同じだった。監督の手腕を感じます。
*のんchanありがとう*