Dick

マヤの秘密のDickのネタバレレビュー・内容・結末

マヤの秘密(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

❶相性:中。
★後味が悪い復讐譚。

➋時代と舞台:時は1950年代後半、舞台はアメリカの地方都市。特定されないが、ロケは南部ルイジアナ州のニューオーリンズ。

❸物語の要旨
①第二次世界大戦中のルーマニア。ロマの血を引く主人公のマヤは、ナチス・ドイツの兵士に暴行され妹は殺される。
②辛うじて生き延びたマヤは、その後アメリカに亡命し、今は医師の夫ルイスと息子の3人で幸せに暮らしていた。
③忌まわしい事件から15年経った今、マヤは聞き覚えのある指笛の音を耳にした。
④その主トーマスのことを調べたマヤは、ナチスの兵士に違いないと思うが、兵士に襲われる前後の記憶を失っており、それが悪夢となって未だに苦しめられていたのだった。
⑤真実が知りたいマヤは、トーマスを拉致し、自宅の地下室に監禁して、自白を迫る。
⑥マヤから事情を聞いたルイスは、それに協力し、証拠を集める。
⑦拷問されたトーマスは、自分は最近越してきたばかりの、妻と娘のいるスイス人で、ナチスではないと徹頭徹尾否定する。
⑧マヤは、行方不明となっているトーマスを探す妻レイチェルと知り合い、慰め、情報を探る。
⑨マヤが置き忘れた銃をトーマスが奪い、逃亡を図ろうとしたので、マヤとルイスはトーマスを山奥に連れ出し、拷問する。
⑩耐えかねたトーマスは、自分がナチスだったと自白する。
⑪それを聞いたルイスは、トーマスを射殺してしまう。
⑫マヤとルイスはトーマスの死体を埋める。
★これが原題(The Secrets We Keep)に通じる。
⑬後日、マヤ夫婦と息子が町のイベントに参加する。そこには、レイチェルと娘もいた。レイチェルがマヤに微笑む。マヤは微笑み返す。

★「映画一巻の終わりでございます。お楽しみ様でした(笑)」と書きたかったけど、疑問点が多く消化不良で、期待外れに終わった。

❹疑問点が多く、消化不良
①マヤは、公園で、指笛を聞いただけで、15年前の忌まわしい記憶が蘇る。しかし、昔のシーンには、決め手となる指笛が出てこない。
★唐突すぎる。それだけで犯人と決めつけるには無理がある。
②ルイスは、トーマスが、「自分はスイスの公務員でドイツに行ったことはない」と言ったことを、スイスに問い合わせて、確証が取れたとマヤに答える。
★どんな方法で? ルイスは秘密諜報員か?(笑)。医師のコネがあったにせよ、1950年代に短期間で確証を取るのは無理でしょう?
③確証が取れているのに、拷問で自白したトーマスをルイスが射殺してしまう。
★マヤは自白するだけで許したのに、何故ルイスが殺してしまったのか? ルイスが一時の激情に駆られるようには見えない。
④地下室でトーマスは何発も銃を撃つ。
★外に聞こえないのか?
⑤トーマスの死体はいずれ発見され、犯人が分かるだろう。
★マヤもルイスも、それくらいのことは分かる筈。

❺まとめ
①トーマスは、最後に自分がナチスだったと自白する。でも、それはマヤの拷問によるもので、真相はあやふやな描き方になっている。
②作り手は、「白か黒かに割り切れるほど、世の中は単純ではない」ということを言いたかったのかも知れないし、
それが、作り手の狙いだったのかも知れないが、こういう手法は性に合わない。
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