せりな

ファヒム パリが見た奇跡のせりなのレビュー・感想・評価

ファヒム パリが見た奇跡(2019年製作の映画)
3.5
バングラディシュの政治情勢をよく知らなかったから調べてしまった。
独立戦争時の戦争犯罪を裁く国際犯罪法廷に関して与野党が揉めてたみたいだけど、お父さんはどっちの政党に対して社会運動をしてだんだろ?
政府側の描写でわかるのかも知れないけど知識が足りなかった。

父親が社会運動をしていることで、息子の安全を確保するためにフランスに行き、そこで出会った人たちに助けられながらチェスの全国大会を目指すストーリー。
ファヒムの半生が書かれた書籍が元になっていて、本人がインタビューで勝ったっている通り細かい描写を除けば、ほとんどが実際にファヒムが体験したことが描かれている。
息子を守るために、決死の想いで国境を超えてフランスまで行った父親覚悟。言葉がわからないフランスと、母親と離れ離れになったファヒムの苦悩。窮状を訴えても簡単には申請が通らない難民申請。
家族を守るために祖国を離れざるを得なかった人たちが、経験する苦労や絶望感がそこにあった。
ファヒムの視点で描かれてはいるので、すぐに子供達と打ち解けて仲良くなったり、チェス教室の仲間たちに助けられながら成長していく姿には希望も感じられました。

ファヒムはチェスの才能があったことと、運が味方してくれたからこの結果があるわけで、ごく普通の人たちが困難な状況から抜け出すハードルの高さには悲しくなる。難民申請が通ってもその先にも大変なことは沢山あるし、軽率な難民批判がなくなるといいな。
ファヒムのインタビューは父親との関係性などもわかるし、今のファヒムの様子がわかってよかったです。
せりな

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