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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のSrのレビュー・感想・評価

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激動の時代、熱情を持った人間たちの討論会。のめり込むように見てしまって、あっという間だった。

近代史として、「こういったことがあった」という事実は知っていたものの、中身までは知らなかったから、意外と笑いもある雰囲気での討論会だとは知らず驚いた。
激しい右翼の左翼のディベートかと思っていたが、三島由紀夫が学生たちに真摯に向き合い、諭すような形で話が進んでいく。
色んな言語を使って交わされる討論であり、非常に概念的なところもあり、理解が難しいのは確か。正直学生側が何を論じたいのか破茶滅茶という意味でも理解が難しい。
その中で三島由紀夫の言葉のチョイスはユーモアがあり、人を惹きつける。
自分が近代ゴリラと呼ばれるのも、サラッと拾って笑いに変える。
彼の外観もだろうが、彼自身の努力やそれによる完璧な文武両道、そしてこの話や文章の巧みさに人は惹かれるんだろう。
翌年に自決されたのが本当に悔やまれる。
惜しい人を亡くした。

「三島を殴りにきた」という学生に対し、芥さんと二人で立ち向かったり、二人でタバコを吸う姿や、現在のインタビューでの「憎んでいたら会話をする必要はない」という言葉に、なんだか嬉しく感じる場面だった。

反米愛国という下で共闘できる、という言葉があったものの、共闘とはならず、結果三島由紀夫は自決、東大全共闘も解散となった。
ただ、芥さんの言葉通り「人間と人間の間に媒介として言葉が力があった時代」というのが非常にしっくり来たし、言葉の威力というものを実感できる一本だった。
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