このレビューはネタバレを含みます
映画で扱われる事故物件は4軒。見知らぬ通り魔の男に殺された赤い服の女、息子に殺された母親と、「男性の暴力により命を落とす女性の方が逆のパターンより多い」という現実をちゃんと反映していてよかった(というか現実に基づいた話だからそりゃそうか)。
Jホラーは長い髪で顔を隠した背の高い女性がラスボスになりがちだが、この映画では「黒いローブに身を包んだ死神」という事故物件由来のホラーを作り出していてよかった。
しかし最も不穏さを感じたのは、ヤマメと中井が組んでいるコンビ、ジョナサンズのラストステージを映した引きの構図という。幽霊とはなんの関係もないところで怖さを演出してるのが中田秀夫監督の作風か。
線香をお祓いで使う際に瀬戸康史が頬を思いっきり膨らましてプープー息を吹き火を煽る。史上最も怖くない除霊シーンの爆誕である。
事故物件の霊障が主人公のヤマメではなく相方の同居人、中井の家族にばかり振りかかる。ヤマメは係累がいないという設定なのだろうか。そうでなくては、あれほど向こう水に事故物件に住みたがる理由が分からないが…。そこだけ引っかかった。