他者を利用し使い捨て続けて掴んだドリームはナイトメアだった…という藤子不二雄A先生の作品にありそうな映画。
どんなに容姿が整っていても金や権力を持っていようが醜い心を持っている人間は獣であるという、長年クリーチャーや異形を描き続けた監督によるお気持ちをしかと受け取りました。
個人的に「俺が使える手札の中で伝えたいテーマをなんとかして描く！」と試行錯誤してる作品って好きなんですよね、デルトロができるカードで風刺をしてて好感を持ちました。
人物と背景がかっちり噛み合ってミュシャのような画面が出来上がったり、占星術が描かれたボードの前で読心術を行う主人公の神秘学の胡散臭さの演出、ホルマリン漬けの何かに囲まれながら微笑む見せ物小屋のオーナー等、とにかく完成された画面が多い。ゴシックホラー的な美意識が非常に高かった…。
割にちょっと長くてですね、もうちょい削れたかなと思いつつ、監督がやりたいんだろうな…削れなかったんだろうな…デルトロだから良いか…！
スペシャルサンクスにキュアロンとイニャリトゥの名前が並んでて最高でしたね。
監督、シェイプ・オブ・ウォーターでオスカー獲っちゃって、今後どうするのかなーと思ってましたがまだまだ全然やれるなと思える作品だったので安心しました。次もよろしくお願いします。
