「ナイトメア・アリー」
怪しく、美しく、そして人間の愚かさを見せつけてくる。これぞデルトロ監督、といった作品。私は大好きです。
ピノキオのような希望に満ち溢れた作品も好きですが、今回の様な私利私欲渦巻く人間の欲深さが全面に出ている作品も好き。
デルトロ監督ということで、またクリーチャー系のものかと思っていましたが、今回はそうではなく、むしろ人間にのみフォーカスを当てた作品になっていました。でも、サーカスの舞台装置とか、ホテルの部屋や診療室とかはまさにデルトロ監督らしさ満載でした。シェイプオブウォーターの時も思ったけど、監督が作る空間って現実にありそうで無い感じなのが堪らない。
そしてブラッドリー・クーパーとケイト・ブランシェットというこれまた豪華すぎる2人。登場するシーンから華がありすぎるよケイト・ブランシェット…。最後の最後は彼女にしてやられました。
スタンが最後にジーナに会いに行くのも、駄目男満載で良かったです。昔の思い出に縋り付く弱さを垣間見た気がするし、何よりあのラストシーン。自らの欲望にのみ従って生きる様になってしまった彼はまさに獣。そうならざるを得なかったとも言えるけど、なんとも秀逸なラストです。
デルトロ監督、毎回違うテイストの作品を作りながら、でも世界観はやっぱり監督だけのものがあって、次は何を作ってくれるんだろうと期待してしまう。良い作品を見た〜
