カズナリマン

佐々木、イン、マイマインのカズナリマンのレビュー・感想・評価

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)
1.6
映画で「あの頃俺たちバカだった」って描くの難しいですよねーー。
特に邦画のそれって、ハードル高い!だって、自分も経験あるかあら。
だから「同級生の佐々木ってやつがバカで、いつもみんなの前で服脱いじゃって」という設定も、映像でそのシーンを見せられちゃうと「あーーそんなことあるよねー!」というより、「映画的な無理やりな盛り上げ方」とか「明らかに高校生じゃない登場人物たち」が気になって気になって…全然リアルに見えない。
リアルな登場人物の思い出ではなく、「ドラマによく出てくる、バカな高校時代の思い出」の典型シーンに見えちゃうんです。
あと「あの頃俺たちバカだった」映画での「風に向かって手をにぎにぎしてオッパイの感触を味わう」ってやつはもう禁止にしましょう!既視感が酷過ぎて、想像力の乏しい脚本にしか見えないっす…。
こういう「過ぎ去りし青春」ものの回想シーンで観客の心を掴みたいなら、「高校生ドラマでよく見るバカなシーン」ではなく、もっとオリジナル度が高い「あったかも、でもなかったかもなシーン」に仕上げてほしい!心底願います。

そもそも見終わって思うのは、本作の「思い出」って、大人じみた事情もあまり絡んで来ないし、佐々木は高校いきそうなキャラに見えないし、「高校時代」じゃなくて「中学時代」にすべきだったんですよねーー。
で、なんで「回想の設定を高校時代にしたのか?」ですが…それは大人になった主人公たちが演じられるギリギリの年齢だから、ですよね、きっと。

父親が帰ってこない部屋で一人、孤独に喘ぐ佐々木。これって、高校生より中学生の設定の方が説得力ありません?
お話の都合より、キャスティングの都合をとった結果が「高校生の設定」。
もっとちゃんとストーリーが面白ければ、もしかしたらこんな風には思わなかったかも。もっと彼らが当時高校生であるべき理由がしっかりしてたら、納得いったかもしれません。
でも悲しいかな、「佐々木、イン、マイマイン」にその理由は不在。「風に向かってオッパイの感触を確かめる」のが「高校生」になってしまったわけです。中学生だったら、もうちょっとマシだったかも…。

これ見よがしに出てくる登場人物たちの喫煙シーンも気になりましたが、脚本がもっとよければ、佐々木というカリスマキャラがもっとちゃんと描けれていれば、全然気にならなかったでしょう。

見てて思ったんですが、監督/脚本家は佐々木を「シングストリート」の兄貴みたいなキャラにしたかったんでしょうねぇ。自分自信は割とはちゃめちゃでダメ男なのに、芯をついた言葉を根拠なく投げかけてくる。
残念、「シングストリート」の兄貴ほどよくかけてない佐々木の言葉は心を素通りしていきました…