レオピン

スティール・レインのレオピンのレビュー・感想・評価

スティール・レイン(2020年製作の映画)
4.0
イケオジのムンさん お茶目なトランプ そしてまさかの きれいなジョンウンw

原題:「鋼鉄の雨2 頂上会談」

面白ーい この映画知らんかった~ 万人には決しておすすめできないけどね~

韓国映画では歴史改変モノやパラレル歴史モノとよべるものがいくつかあったけど、大抵日帝時代のものが多かった。まさに今を切り取ったテーマであることに驚き。

タイムラインとしてはトランプ就任以降の世界 文在寅政権の親北政策 あっと言わせた米朝会談に平和条約交渉。その裏でかつてないほど悪化した日韓関係に、日々高まっていった米中間の緊張。くすぶり続ける尖閣・竹島の領土問題。未だ冷戦構造が残る東アジアのリアルポリティクスをふんだんに取り入れている。

こんな設定をふまえ更にこれが潜水艦映画とな! なんだこのお得感

悪役を担ったのはやっぱりこの人クァク・ドウォン。顔色一つ変えずに撃つのが怖い。親中派のこの北朝鮮軍人が首脳会談を狙ってクーデターを引き起こす。合衆国大統領をも監禁し核戦争一歩前にまで発展。

北の独裁者ですらこの部下の行動を阻止できなかった。それにしても美化されすぎな金正恩 笑 史上もっともキレイに描かれた独裁者。クレムリンや北京のプーさん習さんも後ろ姿だけ登場したがそっちは結構似せてた。

中盤の潜水艦内での三者三様の姿はややコメディーより。ベッドが一つだけの狭い艦長室に押し込められた三国首脳。それぞれの性格が伝わる。席をゆずる韓国大統領にタバコを我慢できない委員長。そして強烈な屁をこく米大統領。自己中だがどこか憎めないおっさん。自白剤を打たれて国家の機密をペラペラ喋ってしまう。そこで明かされた秘密。影武者作戦とは・・・

あの日本を巻き込んで中国の力を削ごうという目論見、まったくの漫画というわけではないよなぁ。昨年話題になったCSISの台湾有事シミュレーションとか読むともう既にあるんでしょって気がしてくる。

トラさんが拘束されて、ワシントンでは代わりに女性副大統領が指揮を執ったが、この人のどこか野心家なビッチ感小池感。

「中国は21世紀のナチだってネオコンが言ってたわ」 (これすごい台詞だな~)

ホワイトハウスにいた俳優はみなB級だったがそこが逆にリアル。ICBMミサイルを中朝国境付近の橋に打ち込むシーンでは衛星中継の画面を固唾を飲んで見守っていた。

終盤の潜水艦バトルは、以前観た『ハンターキラー』よりも断然興奮。
あの内田裕也似の副艦長。海江田ばりの操艦技術で最新鋭艦「白頭号」を見事に操る。
デコイ 発射っ

潜水艦乗りってどこの国でもトップクラスの人材。彼ら、北朝鮮の乗組員にいつしか同情してしまう。ましてあんなイカれた上官がすぐに銃を抜くような超絶ブラックな環境で。銃をつきつけられながら渋々核スイッチに手を伸ばす兵が哀れ。

数々の音を聴き取ってきた若いソナーマンも。
「魚雷到達まであとっ! もう時間は言いません・・・」 死を覚悟し祖国統一万歳と独りつぶやくのだった。。


常に緊張を孕む東アジア。いやそもそも世界情勢だってある程度米国次第というのが現実。大統領選が終わるまでどう転ぶか分からない。もしトラほぼトラに備えて偉い人達は大変でしょうね~ (他人事感)

しっかしこんなホットなテーマを即座にエンタメにできる力がすごすぎんか。
地上波や大手メディアで紹介されることはきっと少ないでしょうが、昔のレンタルビデオのようにこそっと観るのにうってつけな1本でした。


⇒ウェブ漫画原作らしく最後のエンドタイトルも凝ってて面白い。
レオピン

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