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魚座どうしのGAKUのレビュー・感想・評価

魚座どうし(2020年製作の映画)
4.4
自立とは何か。
水槽の中で生きることは自立なのか、水槽外で生きることが自立なのか。

家庭環境や考え方までも対照的な二人。
世間的には“普通”であり、学校という水槽の中で生きるみどり。学校の外に居場所を見いだす“異質”として存在する風太。それは親も同じである。

みどりは水槽の中で大きく成長した金魚に言った「気持ち悪い」と。
金魚にとってみどりは母であり、神である。金魚(子ども)への思いは彼女の母と同じ。

ショットで言うと、風太が学校へやって来る場面。
賑やかな教室の中をカメラが進み、風太を見下すようなショット。しかし風太は道なき道(グラウンド)を横切っている。学校と風太が対立するような印象を受ける。単純な描写の中にある情報量の多さがこの映画に深みを与えている。

学校で居場所を無くしたみどりと学校の外にある居場所を失った風太の出会いは新たな居場所を探す第一歩になるのだろう。
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