佐藤克巳

野獣の青春の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

野獣の青春(1963年製作の映画)
5.0
伝説となった清順美学の第一弾だが、大藪春彦原作ハードボイルド映画の最高峰の一本であり、スピーディー感とスタイリッシュさでは鈴木清順監督随一の傑作。宍戸錠の刑事崩れが「用心棒」同様やくざ同士の相討ちを狙ったものだが、恩義のある刑事の妻渡辺美佐子が、一方でサディスト親分小林昭二の六番目の愛人で夫と売春婦自殺事件の本星であったというスリラーでもある。川地民夫、信欣三、郷鍈治等個性派揃いの布陣は見事で、舞台となったキャバレーや映画館の視覚効果、色彩鮮やかな映像感覚も際立っている。
佐藤克巳

佐藤克巳