全編旅客機の操縦室というソリッドシチュエーションサスペンス。
主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットがほぼ一人で間をもたせている。たしかにこの役は彼が最も適任な気がする。
機内で何が起きているのか、という情報は操縦室の出入り口のカメラの映像と音声からでしか分からない。これは緊急通報電話からの会話のみで進行する映画「ギルティ」に似ている。
そして両作品ともに主人公の行動がまずい。
以下ネタバレ抵触します。
当然だが操縦室の乗っ取りを防いだ以上、誰を人質に取られようが主人公は犯人との交渉に応じる必要などないし、何が起きてもガン無視が正しい。テロリストとは交渉してはいけないのだ。私ならメンタルに自信がないなら、後部モニターを即座に切る。
本作は間違った行動を取った主人公に対しテロ側にも不安因子がいたお陰で、いわば敵失のお陰で助かったというだけの話に過ぎない。
これは人間ドラマとも違うし主人公はストックホルム症候群に堕ちているし、助かったのは運が良かっただけという映画だ。若いテロリストは単に自分の命が大事なだけだ。
修羅場に投げ出された凡人にしてはすごく頑張った。
「ギルティ」の無能警官よりは数段よい。