肉袋

ペルシャン・レッスン 戦場の教室の肉袋のレビュー・感想・評価

4.6
シンプルに設定が面白いよね…めちゃくちゃですぐバレそうなのに、コッホ大尉も国外に逃げることを画策している後ろ暗いところがあるので、バレそうでバレない。
大尉が少しずつ打ち解け、好意的になっていっても、ジルの同胞を迫害する殺戮者であることは変わらずジルが大尉に少しでも心を許す瞬間はない。加害者があくまで加害者として扱われるのが良かった。
ちょっと可愛げのある瞬間もあるだけに、見ている側は絆されそうになる。コッホ大尉が話す言葉を理解できる人間が誰もいなかった空港の一幕、大尉が世界で最も孤独な人になった瞬間は、嫌悪と憐憫でおかしくなりそうだった。

大尉にはジルと打ち解けながらも人間を収容所に押し込め強制労働に従事させることに矛盾を感じたり悔恨したりという様子はなく、兄のように生きたいと感じていながら、本来そうすべきだった瞬間をことごとく逃し、最後まで流されていき破滅する。
大袈裟な約束を守ろうとし直向きに言語習得に努力できる勤勉な大尉、隊内の恋愛模様、ごく普通の人間的な感情をもった普通の人々が当たり前の顔で民族迫害を両立できるグロテクスさが恐ろしくもある。

そしてラストシーンは見事。壮大な…
肉袋

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