つぐみ

のさりの島のつぐみのレビュー・感想・評価

のさりの島(2020年製作の映画)
4.0
結構酷評も目立つけど個人的にはすっっごく良かった。アップリンクで見られなかったからキネカに滑り込んだけど激繁忙期を乗り越えた甲斐がありました。季節ーーーーー!!!俺だーーーーー!!!


前科ありの放浪青年が迷い込んだ限界集落的過疎地で…って「しゃぼん玉」とドン被りでしたが(しゃぼん玉もとても良い作品)、ゆったりしたテンポが今の私にはとても気持ちよくて、ずっと温かい気持ちに包まれながらスクリーンを眺めていた。

季節くんって超絶演技派ではないんだけど、若い男の子のぎこちなさとか拙さ、至らなさ、飾らなさを本当に巧く表現する人だなあって思う。「いきなり??」とか「よろしくっす」とか、芝居くさくないところがすごく好き。そして「空白」に続き(こっちが先なのか)漁船がよく似合うぜ!!

清らちゃんみたいに地元愛!!な子もいれば、やっぱ都会行くわーな子もいて、決して田舎マンセー(令和3年にこの表現よ)にならない塩梅がとても好きだった。私は絶対地元には戻らないし東京が好きだけど、この都心一極集中が決して健全だとは思わないので。


おばあちゃんは本気でボケてたのか本当は気づいてたのかどっちなんだろう。クリームソーダを食べるシーンの「しょうちゃんちっさい頃から好きだったもんねえ」「アイスもうちょっとちょうだい」の掛け合い、手垢がつきすぎて言うのも憚られるけど「血のつながりじゃねんだよな…」ってなりました。

ブルースハープとかの伏線もうまくて、インディーズ映画にありがちな説教くささとか全然セリフで説明しちゃうようなもどかしさもないのがとっても好感触。
キリスト教的示唆にも満ちたなにげにreligiousな作品でもありました。
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