えそじま

風船のえそじまのレビュー・感想・評価

風船(1956年製作の映画)
3.5
実業家として成功した元天才画家の父親、親の会社で働く放蕩息子とその愛人達、小児麻痺を患う無垢で優しい娘、階級意識の高い母親。
芦川いづみ演じる娘をキーロールにして上流階級の冷酷な世界で揺れ動く儚い感情を気流漂う風船に喩えた群像ドラマで、「あした来る人(1955年)」の翌年制作。森雅之、三橋達也、北原三枝、新珠三千代と豪華キャストで固められている。

川島流のユーモアと言ってしまえばそれまでだが、終始歪な語り口で進むので純粋な筈の芦川いづみに闇の気配を感じた。
永遠と描き続ける「十字架と女性と猫」の絵を兄の愛人に見せている時に入る飛行機音とかめちゃくちゃ怖い。
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