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マグノリアの夕のレビュー・感想・評価

マグノリア(1999年製作の映画)
4.2
冨、名声、権力、マチズモ、などなどそれらが人生における勝利、正しさ、確固たるアイデンティティの獲得へ導くと信じて疑わない(疑わなかった)3人の父親たち
そしてその父たちの″栄光″の歩みの中で理不尽に損なわれた人たちがいる
いうまでもなくこれは謝罪する父親たちに感情移入する愛の再生物語ではなく、損なわれた人たちがもう一度力を奮って正解も不正解もない非クイズ的な人生に挑戦してみようとする物語やと思う
かつての天才クイズ少年ドニーのエピソードはかなり象徴的で、○か×かの世界に浸かり散々利用されてきた彼のラストシーンでの、胸一杯に愛はあるはずなのにその捌け口から見当たらないというセリフが悲惨極まりない、スタンリー少年もドニーになってしまうのか…
ジョン・C・ライリー演じる警官もだいぶ際どいキャラやった気がするけど、銃を失くすという展開は上手いなあと思った
彼に近寄ってきた言葉遣いが終わってるラッパー志望の少年もなかなか良かった
ジュリアン・ムーアの演技が、昨日ハンニバル観た後やったからちょっと飲み込めなかったというか、しばらく別人かと思った
彼女のキャラも、あいつはアホなんだみたいに病床の旦那に言われてたけどそれにしても取り乱しかたが病的やったな
自分の罪に唯一赦しを与えられる人間が今にも世をさろうとしててパニックやったんかな
それぞれのリアリズムなストーリーがほとんど平等に描かれ、揃って避けがたい破綻へと突き進んだ挙句 、最後は人智を超えた現象で結ぶって構成がアルトマンのショート・カッツを思い出させた
夕