金属との融合によるジェンダーの超越(たぶん)を、男女問わずの殺傷という分かりやすい表現で見せつけた前半は画期的。殺害手段の無機質さと、特殊メイクによる妊婦の裸体の生々しさの対比は、奇しくて、大変良かったと思います。
さてどうなるかと思いきや、突然見知らぬムキムキのオヤジが出てきて、そこからは隠喩に満ちた、お決まりの神話モチーフ寓話。実の父親からの虐待を匂わせるシーンも確かにあったが、一連の顛末が父性への渇望から来るものだとすると、話の底が知れた気分になりました。消防車の上での「ジェンダー超越ダンス」(唖然とするゲイボーイたち)や、キャデラック車中でのアレなど、やたらと性衝動に結びつけがちなのも気になる。