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マイ・ストーリーのeulogist2001のレビュー・感想・評価

マイ・ストーリー(2020年製作の映画)
3.8
書籍を読んで、非常に感銘を受けていた。その印象と本作ドキュメンタリーでは異なるのかなと想像して鑑賞。実際は著作を読んだ時の印象がより強くなった。

やはり権力者やその周辺にいるべき人間はどこか弱者側にいないとだめだなと痛感した。頭でわかるのと実際に経験したのではやはり決定的に違うと思う。立場といえばよいのかどうかは分からないがどこに立脚するのかは物事の判断では重要だろう。権力の行使とそれを受け取る側では当然、大きな落差がある。そこを想像できるか否かはなにより重要だと思う。理念と同時に感覚的に痛みや辛さを共有できない為政者はどうしても腐敗していくのは避けられないように思う。

「経歴」ではなく、自分自身の「ものがたり」にこだわるというのは得心した。主語を自分におき、誠意と覚悟をもって「なにものかになる(Becoming)」。人生を紡ぐうえでは確かにそうだ。結局、なにをしても自分自身の人生だし、なにものかになるといっても、それも自分なのだから。

オバマ夫妻は「初の黒人大統領夫妻」というよりかは、初の市民の痛みがわかる大統領夫妻だったように思う。政治的な成果の評価は人それぞれだとは思うが、その点だけは本作や著作を通して感じる。もちろん「成り上がる」だけの人物も多いが彼らは違っていた。
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