ふとした誤解や思い込み、言葉足らずの議論の中で、その情報が噂や曖昧な憶測、一面的な断定によって少しずつ捻れていくさまはそら恐ろしい。そしてその当事者でさえ、その流れを糺す術がない。
いちばんの被害者はここでも弱い者が背負わされる。大きな流れになってしまう前にどれだけ冷静な仲間を増やせるのか。どういう戦略を取れば巻き込まれず、加担せずに済ますことができるのか。現実的には容易ではない。
単調で低い弦楽器の響きが不穏な状況に寄り添い、出口のない緊張感に身を任せることになる。演出も巧みで他人事ではなく我が事のリアルを感じた。