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アントキノイノチのhokaのレビュー・感想・評価

アントキノイノチ(2011年製作の映画)
3.0
Mt. Lady Mcdonaldという山に登った事がある。
それまでも他の山で滑落しそうになったり、滑落した事もあったが、この山の登坂は屹立した稜線を言葉通り跨いで進む登頂ルートしかない山で、股の間がヒュッとなって、とても印象に残っている。
その日は私以外の登山者はいなかったので、頂上からの景色を独り占め出来たからかも知れない。

学校はクローズドの共生社会でその居心地は取るポジションで大きく違う。
私はバランスを取るのが苦手だったので、クラス委員長や人気者か、いじめられっ子の二択だった。
松坂桃李さん演じる松井が誰かを貶める事でしかポジションどりが出来ないのもそういった特殊な社会だからだろうが、その根底にあるのはセーフティネットである教師の信頼性が失われてしまったことも原因だろう。
雑事に追われ、叱って諭す方法も奪われてしまっては、教師達だけの所為とも言えない。

PTAや教育委員会、その上部組織である文科省といった組織の過剰介入や無策が、本来楽しい筈の学校という学舎を無機質なものにした責任は問われるべきだろう。

失われた命が、残されたものの命につながる理を知って、それぞれの想いを受け取って生きて行く話。

岡田将生さんの吃音の程度が不安定なのも精神疾患によるものという解釈で良いのか気になった。
榮倉奈々さん演じるユキに助けられた幼女は、この先この事を覚えているのだろうか?

タイトルは、マッサンらしいふざけた中にもあったかさがあるね。
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