Hiro

アナザーラウンドのHiroのレビュー・感想・評価

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
4.3
「アナザーラウンド/Druk」
人生に、祝杯を。

めっちゃくちゃ良かったです。
いや、映画とかをその一言で片付けてはいけないのだろうけど、それでも鑑賞後に一番思ったのは「超良い作品に巡り合った」ということ。ただの酒飲みの映画かと思ってた自分に教えてあげたい。

何はともあれまずはマッツ・ミケルセンなしにこの映画は語れない。北欧の至宝と言われる所以がよく分かります。彼の出演作品をきちんと観たのはこれが初めてだけど、これは好きにならざるを得ない…。
本当に演技が上手い。上手いというか何だろう、一挙手一投足に全て意味がある感じがする。表情だけではなくて、指先とか瞼とか、そういう所からもマーティンの感情が読み取れるのが凄かった。

ストーリーは意外と単純。本当に粗筋に書いてある通り。そして結構内容は重く暗い。
「世の中は期待通りにならない」と言ったマーティンの様に、40年という人生の中で世の中を見てきた大人達と、これから未来に向かっていく生徒達の対比が何とも。

お酒で解決する事なんてない。上手くいったように思うのは、一時的に逃げているだけであって、本当の所では何も変わっていない。それがストーリーが進むにつれて、顕になっていくのですが、その見せ方も上手かった。

最後もめちゃくちゃ良かったです。ダンスのシーンだけじゃなくて、海を見つめるシーンがあるのが個人的にはすごくよかった。あのシーンがある事で、ただの楽しいラストシーンにならずに、過去と向き合い、受け止め、生きていく覚悟のようなものもあった気がして。

それはそうと、デンマークでは16歳からお酒が飲めるんですね…凄い国だな。お酒を飲める年になって、もう数年経つけれど、やっぱり楽しい時に飲んだ方がお酒って美味しいと思う。悲しい時に飲むと、なんだろう自分をさらに追い詰める気がするし。

でもちょっと、海外の度数の強いお酒も飲んでみたいな〜と思ったりもする映画でした。マッツ・ミケルセンの前髪にいちいちドキドキしてしまった…。
Hiro

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