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はりぼてのohassyのレビュー・感想・評価

はりぼて(2020年製作の映画)
3.8
富山で暴かれた空前の市議会議員横領スキャンダルを記録したドキュメンタリー。
富山には仕事の関係で足掛け6年くらい毎年5回は訪問していて、この事件もよく知っていた。
当時ごっそり市議が辞任して補欠選挙が行われるということで、ワンチャンあるんじゃね?なんて冗談半分で話していた。
住民票さえ移せば立候補できますよ、なんて言われたり。

横領は主にカラ出張や空の領収書で水増し請求する方法で、2016年にチューリップテレビの取材により発覚。
重鎮議員への追及、辞任を皮切りに、芋づる式に議員たちの横領が発覚していった。
これまでに数千万円の横領が発覚、多くが返金された。
一見正義を振りかざしたドキュメンタリーの様に思えるが、これが全編に渡ってコメディテイストが貫かれており非常に好感が持てる。
議長が辞任し、新たな議長が誕生するとまた発覚、辞任、新議長、辞任…、の繰り返しなどは劇場でも笑いが起こっていた。

インタビューで、最初は否定していた人が証拠を突きつけられてまごついてしまう市議や、黙り込んでしまう市役所員の姿は生々しくも滑稽であった。
人間ごまかしきれなくなるとあんな顔するんだなあ。
カタキ同士に見えるのにお互いLINEでやりとりしたりもして、追い詰める記者と追い詰められる市議の関係もなんだか不思議だ。

タイトルはもちろん市議会のことを指してもいるが、最終的に自虐的な意味合いも含まれる様な展開を見せ、なんとも宙ぶらりんな気持ちにさせられるが、非常に見応えのあるエンタメ作品であった。
今月末からようやく富山でも上映されるようなので、ぜひとも地元の方と談議してみたい。

観た後に富山の街を回ると、どんな映画より聖地巡礼感があって楽しいです。
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