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樹海村のふっくーのレビュー・感想・評価

樹海村(2021年製作の映画)
3.3
「犬鳴村」から続く清水崇監督の「絶対に行っては行けない村シリーズ」の2作目。
今作の舞台は山梨県にある富士山の手前に広大に広がる青木ヶ原樹海。
青木ヶ原樹海と組み合わせて描かれるのがネット怪談で昔に話題となった都市伝説コトリバコ。

犬鳴村に続いてやっぱこの監督の作り出すホラーの雰囲気ってすごく好きなんですよね。
音で驚かすのに頼らずに、人の歩く家での軋み音とか、とにかく静寂の中で描かれる何だか不気味な感じがすごく好みなんですよ。怖さが付いてくるかは別として。

犬鳴村のパンフレットで清水崇監督が「この作品以降日本には行っては行けない場所がたくさんあるので、シリーズみたいにできたら面白いよね」と言っていたのがわずか一年という短い間に2作目を実現してくれたことに感謝。

ただ今作に至っては樹海村として村と付いているけどこれは村というより密林やな。
基本設定が「自殺の名所の青木ヶ原樹海で死にに行った人たちがその場では死にきれずに、樹海に村を作り、樹海に来た人間達を死の村に引きずり込む。」というシンプルな設定を軸にして、もっとちゃんとした村を作ってそこから恐怖に繋げれば良かったのに、ネット怪談のコトリバコを入れたことにより、結局呪いの元凶はコトリバコであり、そこにご飯で言う漬物的なポジションで青木ヶ原樹海がついているイメージ。

清水崇監督は「呪怨」でもそうだったようにシンプルに恐怖を見せて怖がらせてくる手法が得意なはずなのに、犬鳴村に続きなぜ今作もラストはファンタジーにしてしまったの?笑
樹がバッキバキ音を鳴らしながら迫り来る感じは妙にギレルモデルトロの神秘的なクリーチャー感が出ていて、それはそれで画的に面白かったんですけど、もっとシンプルにして欲しかった。

ただ前半から後半にかけては色んなバリエーションの死を見せてくれる。冒頭トラックに轢かれるおっさんがぶつかる直前バンザイしてるのシュールだし、まさかの医師役でドランクドラゴンの塚地が出てるのだけど、飛び降りで落下した人の首の骨が露出していたり、飛び降りた塚地の顔が凹み、口元がエグれていたりとなかなか印象的な死に方が良い。

前作に引き続き参加した大谷凛香は同一名のキャラクターだけど、違う人みたいですね。今流行りのYouTube LIVEで心霊スポットを撮影する役所ですが、なかなかいい。

オンライン通話で知り合った奴らがみんな個性的で笑わせてくれる。オンライン通話のアイコンを青木ヶ原樹海で自殺した女性の顔にしているサイコパスな奴のせいで、アイコンの顔が歪みこちらを見つめる不気味さは最高。
投稿映像xxxシリーズのクニコみたいでこのシーンが1番不気味だった。

國村隼が語り部的なポジションで物語に深みが出ていて良かったけど、前作でMVPな怪演を見せてくれた高島礼子並みの狂人を今作も出して欲しかったなー笑


コトリバコのあの箱の感じは「ヘルレイザー」のルマルシャンの箱を意識したのかな?
コトリバコの中身がキモすぎるwww

犬鳴村も個人的に好きだったし、今作もここでは酷評な割に、なかなか楽しませて貰えたし、清水崇監督にはこれからも「行っては行けない村シリーズ」を作って欲しい!!
次はどこが舞台になるのかなー。
行っては行けない、、、どこだろう。

冒頭の車でのシーン
國村隼が言う「普通に挨拶して、話して、別れて、…でも、翌朝死んでんだよ。」このセリフがめちゃくちゃ印象的
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