ノマドランドのかくがねのネタバレレビュー・内容・結末

淡々と時間が進む作品で、実際にノマドとして生活している当事者を複数起用しているというのも相待って、まるでドキュメンタリーを見ているような自然さを感じます。

現代の遊牧民と言われると楽しそうで、実際旅の中で出会ったノマド仲間との友情など、気ままで楽しそうに見える場面も多いです。
ですが、その日暮らしの生活は決して楽ではなく、皆さまざまな事情で社会から弾き出されたバックボーンを持っているという、憧れを飲み込む“リアル”が見えてきます。
どちらの生活が間違っているとか、そういった断じるようなことや対立は描かれませんが、そこには現実が映し出されています。

ファーンを演じたフランシス・マクドーマンドの演技も素晴らしかったです。
彼女の本当の心の内は見ることが出来ないような、喜びなのか悲しみなのか、他にもさまざまな感情が混ざっているような表情が印象的です。
何度かあったノマド生活を脱するチャンスを、彼女は拒んで放浪を続けます。
果たして彼女はノマドを辞めたくないのか、それとも辞められないのか。
その答えを知っているのはファーンしかいないのかもしれません。