富士山

親愛なる同志たちへの富士山のレビュー・感想・評価

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)
3.0
ロシア映画は退屈でも地味でも精密で豪華というイメージがあったので、画面の薄さとそれを紛らわすような白黒画面には少々失望しました。しかし、それでも視聴者を引っ張っていける力強さがあって、最後まで見るとそれなりの満足感がありました。特権階級でありながら被害者であるという主人公の立ち位置から見ることで、理不尽な権力と偽善的な社会の在り方がよくわかる構造になっています。舞台がフルシチョフ時代というのもおもしろく、主人公が「スターリンがよかった」と言うのも、生ぬるく重苦しい抑圧から見るとわかりやすく峻烈な暴力が懐かしく見えてしまうという、ロシア社会の救いのなさがよく描かれているように思いました。
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