リコ

建築と時間と妹島和世のリコのレビュー・感想・評価

建築と時間と妹島和世(2020年製作の映画)
-
ドキュメンタリー映画として、映像作品としてのクオリティはたしかに高くない。ドラマティックな展開もなければ、いわゆるエモい語りもないから、緩急みたいなものはない。ほとんど説明がないまま進められるし、ある程度知識がないと分かりづらいのかもしれない。
妹島さんの語りと共に模型検討、予算検討、建設中の現場、完成までの流れを淡々と追う。あまりに基本的すぎて、こういった建築家の映画は見たことなかった。連続していく仕事、ひとつひとつは派手さはなく地味な仕事の積み重ねなのかもしれないけど、ドラマ性を廃して、描かれるからこそ、より具体性を持って建築家という仕事がわかった気がする。だからこそ、妹島さんが普段の仕事での感覚やあり方が垣間見れたような気がする。
建築のコンセプトや妹島さんの哲学をエモーショナルに切り取ることもできたと思うけど、それをあえて選択肢しない実直な作りのおかげですごく勉強になった。
建築設計を仕事としている人が見るとまったく違う印象を受けるのだろうな。聞いてみたい。
リコ

リコ