最初はすごく怒りっぽかったり、尿失禁していた様子からこの女性は認知症かな?と思っていた。
自身の息子を殺した男への復讐心に燃え、その男の死刑執行を見届けに向かう女性とその娘。
「死ぬまでに2時間かかるらしい。
私は28年間苦しんできた」
と話す様子からも完全に心はその男の死刑執行に執着しているようだった。
そうでもしないとこの心の行き場がないから。
一方で、娘はずっとその母親に付き合い、きっと色々なことを我慢して来たんだろう。
28年間も…。
同じ28年を費やすとしても、これまでに失った時間や気持ちは取り戻せない。
そして、それは母親にもいえること。
執着しすぎることで、見えなくなってしまったことや失うものは多々あるんだと感じた。
怒りというパワーに任せて復讐だけを心に生きるのは、あまりにも長すぎる時間だし、どこかで折り合いをつける勇気も必要だったと思う。