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林檎とポラロイドのmorimotoseiichiのネタバレレビュー・内容・結末

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

 2022年3月31日(木)にテアトル梅田で鑑賞。

 舞台の雰囲気が好みでよかった。世界観もよい。

 主人公は初めから記憶障害ではなかったんだろうなと。誰かの葬儀に参列したことで記憶を取り戻したという見方ができないか考えてみるに、同じようなことをやっている人が他にもたくさんいるなかで、記憶を取り戻した人がいまだかつていないのだから、その可能性は低いだろうなと。症状を医師に訴える際、同室だった記憶障害の男性から聞いたとおりに話していたこと、果物屋での番地の言い間違い、公園で犬の名前を憶えていたこと、さらにその犬の名前を呼ぶ声に気づいたとたん逃げるようにその場を立ち去った場面などを考えあわせれば、やはり最初から記憶障害ではなかったのだろうなと。

 主人公はいつも林檎ばかり食べているのだけど、そして自宅に帰ってからも台所に置いてあった林檎を食べるのだけど、果物屋で林檎が記憶によいと聞いたとき、紙袋に詰めてあった林檎を出して、最初に勧められたけど断ったオレンジを買って帰るという場面がある。果物屋のおやじ曰く、林檎は記憶力によいのにめっぽう売れないと。そう考えると、主人公と同室だった男性が林檎を食べず主人公に投げて寄越したことと何かつながるなと。

 病院で余命いくばくかという患者の病室を訪れたときに主人公が話していた結婚していたけど妻は亡くなったというのは、最後の墓参りの場面、自宅に帰ったあと床に置かれたままの女性ものの靴と出されたままになっていた女性ものの服を片づける場面を考えると、本当のことだったんだろう。とすると、妻こそが記憶障害になり、それでなくなったのだろうか。そのことと、バーで行きずりの関係を求められることと何か関係しているのだろうか。などなど、考え始めるといろいろ気になるところが出てくるなと。