A8

ヒューマン・ボイスのA8のレビュー・感想・評価

ヒューマン・ボイス(2020年製作の映画)
3.4
ティルダスウィントンの1人芝居‼︎

主人公のティルダスウィントンはお家でパートナーの帰りを持っていた。だけど、いくら待っても帰ってくる気配のない彼。最初は余裕な雰囲気を出していたが、だんだんと白状をするかのように中に秘めていた不安や鬱憤
、落胆さを溢れるように出していく。
ついに、彼からの電話が鳴る。そこがスタート!と言わんばかりに彼女の感情が言葉としてマシンガンのように炸裂する。
そして、最後はこれまで観ていた集大成かのようにとんでもないコトをする。
だけど、不思議なことにそこに対しての驚きは、彼女の行動から読めたかのように自然と受け入れられるのであった。

“お家”とはいっても映画のセットのお家であり、人間の住んだ形跡が一切ないかのような無機質なモノであった。
それは、まるで彼女とパートナーの愛のない空っぽの巣を表すようであった。

また、登場人物はティルダスウィントンだけではない。
パートナーが飼っていたと思われる“犬”🐕がいるのだが、彼女と犬の関係性は彼女の心のバロメーターを表しているような気がした。

30分という短い時間だが、そこに彼女の“パートナーと別れる”という一大イベントの行方が感情を一つも取りこぼすことなくこの作品にぶつけられているようで面白かった。
そして、最後彼女と犬がこのセットのような空間から立ち去る姿は、吹っ切れたような清々しさがあり印象的。

“独特”で奇抜なこの作品は、意外とシンプルな内容で30分という短い時間まとめられている。
また、監督の長編はどのようなモノなのだろうかと興味が湧いた。
A8

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