2004年。な、なんだこれは。とある町に骨休めに来た極道ふたり。大親分がまとめて平和なはずのこの町だったがはしかし、代替わりしてやたらとファンキーな奴が長になった組がのさばりはじめていた、と書くとまぁ普通のVシネだがこれがまた、なんつーか。
　松方(重厚だがまれにおかしくなる)、竹内力(終始マジメ)、寺島進(真面目にやれ！)、小沢和義(真面目にやれ！！)などかなりのカードを揃えた上で、悪ふざけしてる時の三池崇史みたいなグルーヴを出してくる謎のアウトロー映画。滑ってるとこもチョイあるけどハマっている部分は滅法面白く、おふざけが過ぎて具合が悪くて寝てる時の夢のような場面もあり「変なヤクザVシネ」以外に形容しがたい気迫がある。
　寺島進の初登場シーンは若干「おっ、これは厳しいな！？」と感じたけどもっと変なのが現れたりするため、慣らされてしまえばこっちのもの(？)。「オッかっこいいやん」と「いやおかしいやろ」が高速で手変わりしてくるので麻痺してくる。最後はきちんとバトルして、力ずくの大団円で締めやがるので後味はよい。
　寺島進がしゃがんで、そこに舎弟が上着を着せるのはジェームス・ブラウンのパロディだろうか。あと兄弟共演をこんな場面に仕立てるな。なお人は死にますが、犬は無事です。

監督・共同脚本は望月六郎。望月監督演出・脚本の舞台を先日観に行き、この監督の作品名は知っていてもそんなに観ていなかったことに気付いてレンタル。

関東地方の小都市前崎におしのびで湯治に姿を現わした何やら裏社会の大物風の松方弘樹とその部下・松田優(何しろ目をひかれて入った花屋で松方が「薫りを楽しませてもらったよ」と店を出れば、後につく松田が「薫り代」と店員に万札数枚を手渡していくぐらい大物)。

地元の組では代替りがあり、組長となった寺島進は怪しい中国マフィアとも手を組み、先代同士は友好関係の鳶職の親分・竹内力に上納金を要求し、嫌がらせを繰り返していた。先代との縁、そして自分との縁も判明し、竹内力を見守る松方だが、松方を兄の敵と狙う小沢和義も参入。ついに全面対決へ…。

という話の骨格についた身が、寺島進は羽付きの派手な帽子とガウン姿でステップ踏んでたり、ジージャンにジャージの小沢和義もやたらとテンション高かったり(実兄・小沢仁志も兄役で爆笑の登場)、土手では狙撃用ライフルを構えたスナイパーが犬の散歩のおばちゃんと会釈をかわしたり、中国マフィアは卓球ラケットと深紅の表紙の毛沢東語録を振りかざしたり、松方弘樹も小沢和義とゴーカートしたり、戦えば三角締めを披露したりと数え上げればきりのない程、キャラにしろ、ちょっとした場面ディテールにしろと何かと遊びが入ってます。音楽もフラメンコだし。観ていて、何かとにやにやさせられちゃいました。

まともな人が狂った映画を目指したやつで、全編悪ノリのオンパレードで時々上滑りしている。
しかし不思議と悪ノリもやり続ければ筋が通ってくるもので、松方弘樹がゴーカートで殴り込みをかけるあたりから愛らしさ満点。正気のくせにちゃんと最後まで悪ノリを押し通したので結果として全て許せる稀有な映画です。
ついでに小沢仁志で100点！いい加減にしろ！