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荒地の少女グウェンのasukaのレビュー・感想・評価

荒地の少女グウェン(2018年製作の映画)
4.8
広大な大地。
自然がたくさんで、自給自足の生活。
遠景のショットがあまりにも美しく、スクリーンで観ることができなかったことを悔やむほど。


戦地に向かった父親を待つ娘2人と母親の3人暮らし。
仲睦まじく暮らしているのかと思いきや、母親は長女のグウェンに対してとても厳しく当たっていた。
なぜそんな態度なの!?と、長女な私は自分を投影してしまい最初はイライラしてしまった。
それにはちゃんと理由があったにも関わらず…。

母親が自分の指を切ってその血をチークにしている様子を見たとき、ぎょっとしてしまった。
その様子から、この家族の貧困の状況を感じざるを得なかった。


徐々に嫌がらせや不穏なことが、この家族へ降りかかったとき。
また、地元の人々のよそよそしい態度を目の当たりにしたとき。
この家族が村八分の状況なんだってことに私はやっと気づいた。


母親のグウェンに対する辛辣な態度。
きっと彼女に生きていく力を与えたかったんだろうなぁ。
何事にも負けない強い力。生きる力。
そして、守られる側から守る側へと成長させるため…。


『羊を盗む者はその手を切られ、山を盗む者はその土地の王になる』

ラストにわかる母親のこのセリフの意味。
そして、2回鑑賞したことでこの作品と、母親に対する感じ方がこうも変化するのか!ととても驚き、楽しめた。

第12回京都ヒストリカ国際映画祭 オンライン上映にて鑑賞。
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