マイケル忌野

竜とそばかすの姫のマイケル忌野のネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

歌:星5
ストーリー:星2
ストーリーが酷いから総合1.5(?)

中村佳穂さんの歌が素晴らしい
それだけと言ってしまいたいくらい不完全燃焼が強い

細田守は周囲の人や社会の現象に対する解像度がかなり低いようであるが、
それをストーリーの大筋に持ってくるため、炎上やネットでの他者への攻撃性に対して一面的すぎ、登場人物にほとんど共感が出来ない

現実の炎上で酷い時は酷いものだが、擁護の声も上がるものだ

それなのに、今更炎上させる側を過剰に描くことになんの意味がある
ネットので初めでは警告としていいだろうが
そんなものはみんな見なれている

反対に主人公に対するアンチvtuberの没落を描く様子もアンチの声は少数派でかつて全盛を誇ったvtuberも落ちる時は落ちるものだということをなんの捻りもなく描くことになんの共感も覚えない

現実の現象に対し、誰でも理解出来、目の前に見ている景色をそのまま描いていることに、社会の解像度はそんなものかとため息しか出ない

ストーリーの中でとりわけ酷い所は主人公の最大の敵である

本作は全世界の何十億人が利用するバーチャルな世界で有名になったある少女の話である

世界観は広大だ

話が進むにつれ中身もどんどんと広げられるのかと思ったら急にある男の子を救う話になる

そしてその男の子を虐待をする親から救い出す話となる
なんてスケールが小さい話に落ち着くのだろう

虐待の話を過小評価しているのでは無い
むしろ細田こそ虐待を舐めているとしか言えない

何故虐待であるのかその必然性もなく
全世界が関わる世界であるから差別や戦争や貧困など取り上げるものがいくらでもある中で何故虐待なのか

恐らく細田がニュースで見て感じて作品に取り上げられるギリギリのラインだろう
それ以上を描くには彼に力量がないのだろう

さて
ここらで問題と感じる点を2つに整理すると

・全世界が参加する世界の中で取り上げられる問題がたった1人の少年の虐待であること

・虐待問題に対し立ち向かうのが少女であること
(大人も介入すべきだし、行政の力が必要な問題だ。それを全部無視して純朴な少女が救いの手を差し伸べる描写は虐待への理解が皆無に近く舐めている。そして純朴な女性を大人の悪(虐待)に立ち向かわせる無神経な母性神話が透けてみえより怒りが込上げる)
マイケル忌野

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