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カナルタ 螺旋状の夢のkazukiseraのレビュー・感想・評価

カナルタ 螺旋状の夢(2020年製作の映画)
3.5
「君のこと見たことあるよ。ビジョンにいた」

エクアドル南部のアマゾン熱帯雨林に暮らすシュアール族の村に1年間滞在した太田光海監督によるドキュメンタリー。

"セバスチャン"
親はシャーマン、息子はプライマリヘルスケアの医師を目指して学校に通っている。
丁度、時代の境目にいるのがセバスチャンであり、このドキュメンタリーの主人公と言っていいだろう。

「自給自足のアマゾンの奥地で暮らすなんたら族」とは言っても、

最近のなんたら族の方々は、

携帯も持ってたり、海外からそうゆう取材やらが来たら衣装なんかも着てくれて

それっぽいことをしてくれるなんて話はよく目にする事である。

勝手に想像を膨らませて期待をされても困るというやつだ。いつの時代の話をしているんだと。日本に侍と忍者いるのかよと。

物語に出てくるシュアール族は、
監督との会話のメインはスペイン語。
彼らも身分証明書を持っていますし、
小学校はスペイン語で教育されているので、先住民もスペイン語なしでは生活できないとの事。

服装は普通の服で、セバスチャンがサービスショットでたまにそれっぽい民族衣装を着てくれたり、狩りなんてしないのに槍もってる絵をくれる。

職につくという概念はあまり無く、
村や近くの場所にある小学校の先生になる、というのが彼らが考えるほぼ唯一の職業との事。
あとは基本的に自給自足。
住所もなく、銀行口座もある人もない人もいる。でも身分証明書はあって、彼ら独自のシュアール族連合のような組織がもあり、そこを介して政府とやりとりしているようです。
セバスチャンは牧畜もしない。銀行からローンをしてジャングルを壊したくないから。

この物語の始まりから目にし、最後まで一番よくでてくるのが三つの飲み物である。

"アヤワスカ"
シャーマンという言葉と割とセットで聞く事も多いでしょう。
ハルミンを含むカーピと、ジメチルトリプタミン (DMT) を含む植物を組み合わせて作られた幻覚性のある飲料。
アヤワスカはビジョン(未来)を見るという視覚的な体験も勿論あるが、身体的にも実際に吐いたり、平衡感覚がなくなり、臨死体験に近いので、バッドトリップにもなるだろう。
シャーマンは、アヤワスカの精霊から歌を授けられ、その歌を使いわけることにより、アヤワスカは病気を治す薬となったり、敵を攻撃する毒となったりするとの事。

"口噛み酒チチャ"
主にトウモロコシを発酵させて作られる酒。トウモロコシを噛んで唾液の酵素で発酵させる。おばさんが噛んで噛んで吐きまくってる映像がひたすらうつる。通常の人ならとても呑みたいなとならない絵面だが、もうこれがないとこの人達無理だなって位、常に呑んでる。噛む女性によって全然味が変わるようだ。朝起きてお茶や水感覚で飲んでいる。赤ちゃんからお年寄りまで。度数は5~10%くらい。手伝いをしてもらったら、みんなに振る舞うのが礼儀。無くなると他の家によこせよこせとせがみに行くくらい。金を払ってまで手に入れる。それだけ呑んでいるので、軽い中毒症状も出るだろう。


"マイキュア"

こちらは通過儀礼というよりも、継続的に人生をかけて飲んでいくもののようです。村の人たちは子供の頃、10歳くらいから飲み始める人もいるようです。トリップ状態になって、本当の自分に出会って、深いモラルを持った人間になるというプロセスだと思います。化学的に言うと幻覚作用のある薬草ですが、彼らからするとリアルなものなのです。
ポップめのアヤワスカってとこでしょう。


"この地で食べていく術を私たちは知っている"

私達には米や外からはいってくるものは必要ない

プラタノ、ユカ、山芋、里芋、バナナがある

森でとれる芋もある

市場で買わなくても野菜はある

だから、お金は使わなくて良い(チチャには10ドル払ってたけど笑)

祖父母の時代は、獲物が沢山いた

猪やパカ、アグーチを狩猟していた

でも私達が生きる時代まで彼らが狩り尽くしたよう

とはいえ

セバスチャンは、医師を目指す息子を学校にいかすので、日払いの仕事をしたり芋を売ったりして金を稼いだとゆう

組み方を螺旋状にしたのと、ナレーションが無いので状況がいまいちわからない事からドキュメンタリー映画としてはいまいちだったが、現代の彼らのリアルは見れたと思う。

僕が得た情報のほとんどは
このドキュメンタリーからじゃなく
監督のインタビュー記事からである