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漁港の肉子ちゃんのakihiko810のレビュー・感想・評価

漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)
4.2
アニメ映画。西加奈子の小説原作(未読)。NHKで視聴

漁港の船に住む、朗らかで天真爛漫で不細工な大阪のオバチャンである肉子ちゃんと、その子どもである端正な顔立ちで大人びている小学5年のキクりんとの不思議な親子の関係を描く。

漫画版は1巻だけ読んでた。タイトルから母親肉子ちゃんが貧乏でも力強く生きる話かと思っていたが、主人公は娘のキクりんだった。
思春期の手前である年頃の女の子。クラスの派閥問題。少し自分の母親を恥ずかしく思う心。片親であることの葛藤。発達障害のクラスメイト。
小学生ながらどこか生きることに悶々としている。
それでも周りの大人たちはキクりんを温かく見守っているところが素晴らしい。焼き肉屋の親父が「生きることは迷惑をかけることなんだ」みたいなもっともな台詞を口にするが、これは作品テーマをわざわざ台詞にするようであざとい感じもするのだが、本作に限って言えばそこまで不自然にも感じない。
キクりんは生きることにちょっとした「悶々」を抱えているが、それは大人だって同じこと。それでも人はつながりによって生きていけるのだ。
「弱さと同居しながら人は生きていく」現実が描かれていてとても好感が持てた。

気になったのは、肉子役の大竹しのぶ。声と役が微妙に合ってない気がして少し残念だった。キクりん役はよかった。キムタクの長女なのか。
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