EDDIE

ある用務員のEDDIEのレビュー・感想・評価

ある用務員(2020年製作の映画)
3.5
何気なく働いている見知らぬあの人はもしかしたら物凄く強い人かもしれない…キャラの背景描写について気になるところがあるものの、潔くゲームハント的な殺し合いアクションに振り切ったことに好感。笑いどころも多いが役者の魅せ方で差が出たかな。

キャストがとても自分好みだったので観てきました。
「未体験ゾーンの映画たち」今年もやってきました!

本作は、個人的にキャストがすごく好みで楽しみにしていました。
『ソワレ」でとんでもない表現力で魅了してくれた芋生悠、バイプレーヤーとして欠かせない前野朋哉、『タイトル、拒絶』の好演が記憶に新しい般若、『宮本から君へ』で圧倒的な悪役を演じた一ノ瀬ワタル、ドラマ『火花』の波岡一喜、映画ドラマと大活躍の野間口徹、などなど。
主役の福士誠治こそあまり知りませんでしたが、ヒロインから脇役までスキのない布陣。

主人公の深見(福士誠治)は幼い頃に父親(野間口徹)を亡くし、ヤクザもので兄弟分の真島(山路和弘)に引き取られ育てられます。
それから数十年…とある高校で用務員として働く深見の姿。法律によりヤクザが昔のようにデカイ顔できなくなった世の中において、暴力団同士の抗争とヤクザのボス真島の娘をターゲットにした狩りが始まるという大まかなあらすじです。

とにかく近接格闘のアクションの工夫や撮り方が巧かったですね。ガンアクションでは演出面がちょっとダサいなぁと思うところはありましたが、近接格闘は見せ方から俳優への演技指導と演じ方までほぼ完璧じゃないでしょうか。めちゃくちゃ見応えがありました。
女子高生の殺し屋役で伊澤彩織という子が出ていましたが、この人のアクションが圧巻でした。あとで調べてみると本業スタントウーマンで坂口拓主演の『RE:BORN』にも出演していたようです。

あとは「こいつここで死ぬのか〜!」というアッサリ感があったり、般若と一ノ瀬ワタルの漫才、前野朋也と北代高士の漫才があったりと、意外性や笑いで楽しませてくれたのも一興。ただ個人的にはノワール的に仕上げてほしかったなぁと。笑いがちょっとクドかった気もします。

『タイトル、拒絶』で演技の素晴らしさを披露してくれた般若もなぜか本作では台詞が聞き取りづらくあまり上手く感じなかったのが残念ポイント。好きな俳優なんですけどねぇ。

しかし、芋生悠の繊細な表情の演技力はとても良かったですね。今後、日本の女優として台頭してくることが楽しみで仕方ありません。

※2021年劇場鑑賞9本目
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