けーはち

アメリカン・ユートピアのけーはちのレビュー・感想・評価

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)
3.7
全員名門美大出のインテリパンクバンド、トーキング・ヘッズのフロントマン、デヴィッド・バーンの舞台をスパイク・リーが映画化。音楽ライヴというよりは音楽を中心に据えたパフォーマンスアート。全員単色のスーツに身を包んだ人種・性別バラバラのメンバーが、コンパクトな楽器を無線で繋ぎ演奏しながら踊り、シンプルなステージに時々小道具を持ち込んだり身振り手振りの身体表現を楽曲世界に加えて見せる。チャカポコしたワールドミュージックのビートにニューウェーブ系のサウンドを乗せて小難しい観念的な歌詞を歌い、曲間のMCでは政治や社会に触れ選挙に行こうなどと啓蒙するスタイルで、ラストは客席をぐるりと周りコミュニケーションの双方向性を確認して大団円。社会に中指立て悦に入る凡百のバンドのアンチャンとは一味違うアート偏差値高い俊英が齢を重ねた円熟味が滲み出て興味深く何より前向きで気持ち良い一本となっている。