JunichiOoya

短篇集 さりゆくもののJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

短篇集 さりゆくもの(2020年製作の映画)
5.0
シネヌーヴォは今週末まで、そのあと元町映画館も出町座も短期間上映なのが口惜しい。心に刺さる短編集。ほたるさんのプロデューサーとしての人徳がそうさせるのだろう。

最初の『いつか忘れさられる』ほたるさん監督脚本主演。かつて彼女も出演した渡辺護監督(その後を引き取って井川耕一郎が完成)の『色道四十八手たからぶね』撮影時に余った35ミリフイルムを使ってスタンダードサイズ、サイレントとして作り込まれている。
『たからぶね』はその制作経緯から渡辺護さん追悼映画でもあったのだろうが、この回はその時の余りフイルムを使うということで「さりゆき」「わすれ去られる」者への想いを幾重にも感じさせられた。

この日は大阪初日とのことで、撮影したフイルム片を土産にいただいた。実はフイルム片、『たからぶね』の時にもいただいていて。この二片は元々同じ映画のためのフイルムだったのだなあ、と私自身の「さりゆくもの」たちのことも想いながら。

他の四作、小野さやか『八十八ケ所巡礼』、山内大輔『ノブ江の痣』、小口容子『泥酔して死ぬる』、サトウトシキ『もっとも小さな光』、どれも素晴らしい。制作費は各作家の自腹。クラウド・ファンディングじゃあない。気合入ってます。
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