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ひらいてのhiyoriのレビュー・感想・評価

ひらいて(2021年製作の映画)
3.9
首藤凛監督の作品。例えば「勝手にふるえてろ」「私をくいとめて」で大九明子が綿谷りさ作品を描くときには濃度が高いコメディを選択しているが、本作はアート映画のような省略の話法でこじらせ女子の歪みを描いているのが面白い。本来、編集やカット割りその他諸々によって演出の意志は感じ取られるものだが、本作はむしろ歪みを歪みとは描かないように如何なるフィルターをも通さない優しさが感じられる。また主人公の打算的な性格の描き方が本作では摩訶不思議だ。表情を崩さない、というよりは真っ直ぐすぎて表情を崩せない。痛々しさは吸い込んで思わず外に溢れてしまうものなのだろう。漫画やアニメで見るような型にはめられるようなモデルとは逆行したキャラクターの凄み。本作の人物造形の深さに恐れ入った。山田杏奈はよく難役を最後までやり遂げたと称賛を送りたくなるし、お淑やかカップルの作間龍斗、芋生悠も良い。芋生悠は作品によって全く違う表情を見せる。きっと日本を代表する役者になるに違いない。
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