ぱたぱた

偶然と想像のぱたぱたのネタバレレビュー・内容・結末

偶然と想像(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

映画館納めしてきた。
この監督の作品は2作目だけど、この監督の人格に対して、わかるわからないよりも、より感覚として近いというか、一話したら十伝わりそうだな、と人間に対して期待しちゃうようなところがある。

1本目
魔法みたいな時間の表現とてもよくわかる。『恋愛的瞬間』のこととちょっと思い出した。子供の頃の話からしちゃう、という感覚も、わかる。人と仲良くなるまでに時間もかかる。
その間の違和感の表現も、絶妙にわかるというか、浮気のくだりと、え、仕事何やってる人?のあたりは確信して聞いてない?という感じを最初から感じてて、オフィスに来た時やっぱり〜〜やっぱりな〜〜ってちょっと盛り上がっちゃった。
もーれつなズームアップに、えっ?!ってなったけど、物語の外の作為わざと感じさせたか!ってなった。
あと画面の中に関係ありそうで関係ない人がよく通り過ぎるのが面白かった。

2本目が一番好き。
ハニートラップをバラした時に、正直怖かったです、何が行動原理なのかわからなくて、という部分で映画館に笑いが起きた。性的な内容の音読の緊張感は確実に映画館に満ちていたので、反動を感じる。
(先生が閉めたドアを開けに行くときも笑いが起きたかな、あと、録音しておけばよかったと思ったところだったんです、のところ)
先生みたいな人はとても素敵だなと思う。
言語化のできない空間に漂っていられることの才能のくだり、作者にとっても力のこもった瞬間だろうな、と思いながらしみじみ聴いた。
社会で暮らしながら社会と合わない部分を適合させずに持ち続けることの難しさと大切さと、実はそんなことしなくていいのかもという虚しさのバランスがちょうどよかった。あそこで誤送付してしまうのも、人間万事塞翁が馬って感じだった。

3本目
これは枠組みがすごくて、このアイデア最高すぎるでしょう、と思った。
知らない人と知らない人を出会わせてその人の人生を語らせ合うということは、書き方としてとても面白いだろうと思っていたので、こういう形のきっかけでそれが成立するということの自然さが、うわぁ!超いいアイデア!と思った(もちろんアイデアを具現化する能力含め良いのだけど)。
1本目で、うわ!元カレじゃん、と思ったのを元カレにしか言えないのと同様、名前思い出した!というのをあの人にしか言えない、というつながり方が愛おしかった。

水差しとしての1本目のパソコン忘れた社員、3本目の宅配便。もしもこうしたら未来が大きく変わるだろう、変わっていただろうの1本目の暴露と2本目のテレビなども、偶然と想像短編集の趣強めていてよかった。
ぱたぱた

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