このレビューはネタバレを含みます
たしかに悪夢だ。だけど、皆がいうほど最悪には思えなかった。どこか救いがあるような。そう感じるのはハマりきれなかったのか、むしろハマりこんだのか。それとも悪夢に慣れているからか。
惹かれる場面は多々あったが、いちばんはラストだった。さいごのさいご。
転覆してから僅かの間、がたがたと苦しそうに揺れ動くボート。ベイビーと響く悲痛な声。やがてそれも止んで、昏いなか静かに小刻みに揺れる波。エンドロールが粛々と流れるのを見つめているときが1番この映画に入り込んでいた。あのままずっと見続けていたかった。