よ

悪い奴ほどよく眠るのよのネタバレレビュー・内容・結末

悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

今までは自分の記録のためにつけてた感想を人に見られたくないがためにネタバレにしてますが、それでも見るような物好きの方は完全にネタバレしてるので(尚且つこの作品の面白さ半減なので)観てない人はすぐに引き返すように


夏休みの「黒澤映画を全部見ようの巻」は胃腸炎で途中断念してたんだけど、再び復活しての一本目がこんなにエグいとは…。

久々に観ても流石の画面構成で、ほとんどの場面が一時停止しても絵になるくらいの惚れ惚れする美しい構図。かつそれが自己満足じゃなくて映画のストーリーの迫力を底上げしていて流石だなという感じ。

ストーリーは「官僚に親父を殺された復讐に社会の悪に立ち向かう主人公」という半沢直樹感のあるストーリー。シリアスだけど娯楽要素もしっかり押さえてて、途中までは「あーそういう感じね。これでこれがこうなってこうなる感じでしょ?まあ面白いし画面綺麗だけど評価は☆3.5〜4くらいかなぁ」と終盤までは半ば舐めて観ていました。それに主人公やその他登場人物のツメの甘さにイライラする事もしばしば。

ただ、終盤。自分が予想していた終わり方とは全く正反対の胸糞マックスな終わり方。この作品の前には隠し砦、この作品の後には用心棒という娯楽マックスな黒澤映画に挟み込まれてる分ナメていたというかなんというか。
劇中の様々な伏線も最悪な形で回収されていて胸糞悪いけど最高。

黒澤映画は割と最後に救いのあるストーリーが多い印象があった分、この作品のラストは衝撃的だった。タイトルの意味についても鑑賞中何度か考えていたけど、最後に「悪い奴ほどよく眠る」というタイトルバックが出た時に予想をはるかに上回る最低な意味が込められていて鳥肌。

シリアスな場面に陽気な音楽をぶつける「対位法」が多用されたと解説にあったけど、効果的だったと思う。印象深いのは和田の葬式の部分だけど、陽気な音楽が使われていた全ての部分がラストを知ると一気に不気味感が増す。ちなみにラストはBGMが一切ない非常に淡々とした終わり方。褒め言葉で言うけど悪趣味。鑑賞後、この記録をつけてる時にもじわじわと気持ち悪さが押し寄せてくる。

一言でいえば「邪悪」な映画。
胸糞だけどムチャクチャ面白かった。
結局最後が良ければ好きになっちゃうんだよな…。
あと自分胸糞映画好きなのかも…。
よ