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ももいろそらを カラー版のぐのレビュー・感想・評価

ももいろそらを カラー版(2020年製作の映画)
3.9
忘備録として。
10周年の特集上映で本作を観てきました。
白黒、というかオリジナル版が映画の世界に入り浸るきっかけとなった傑作だと思っていて、公開時、同じ週に2回見に行ったほど好きな作品です。

結果だけを先に言うと「オリジナル版のが好きです」。理由は沢山。まずカラーの配色。思ったよりも鮮やかで、色の印象がそれほど計算されていない。後のぼんとリンちゃんなどでも明らかですが、作中、色味が画面の感情に抵触するように少し地味なように計算されています。監督の評価としてとても高いのは、その質感が徹底されているところにもあり、長回しにも効果を発揮。画面の派手さよりも、集中力がきれない、人物以外の変わらなさを選んでいるように思え、そのことによって変化するのが人物のみの自然でありながら長回しが強調される、面白い作為だと思っています。

ところが、当時はまだきびしい制作状況もあったのか、色がつくと自分の感覚もありますがカットの長さよりも人物の動きというより背景の環境の変化に目がいってしまう。特に商店街のシーンがそうでした。もちろん悪くはないものの、白黒BGMなしの利点のほうが多かったです。
また、光溢れる質感を表現するには白黒の方が適していましたし、手ブレやフォーカスなどの印象もカラーの方が雑に見えてしまいました。
そういった要因から、白黒の方が個人的にも評価は高いです。

ただ、作品の内容は変わらないので久々に観て、懐かしさを感じました。
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