げぶらしらえ

ベネデッタのげぶらしらえのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.1
「最後まで嘘ばかり・・・」
教皇がつぶやいた言葉に同意!

ポール・バーホーベンとクエンティン・タランティーノの新作だけは公開同時に映画館へ行かなければ。
どちらの監督も、あと何作をリアルタイムで観れるのか・・・。

バーホーベンの映画の魅力は、いつもカッコ付きの「常識」や「当たり前」と考えてる事を揺さぶってくること。
今回も、最も立場が上の教皇が最も外道だったり、修道女達を束ねる院長が最も信仰心が薄かったりと一筋縄で理解できない人間模様。

そして、1番理解し難い人が主人公のベネデッタ。
幼い頃から信仰の道を志し、もしかして最初は純粋な気持ちだったのかもしれないし、最初の奇跡もホントだったかもしれない。でも、その後の奇跡はかなりの眉唾で・・・。

ラストの彼女の選択の意味を考える。
ここでは無いどこかに居場所を見つけるのではなく、自分があるべき場所へ戻ることを選択する。
かつて、院長が「どうであっても、これが私の選んだ道だから」と言ったが、彼女も同じように考えたのだろうか。

嘘か本当か分からないことばかりだけど、愛だけは真実だったと思いたい。
でも、その相手はイエスキリストなのか、それとも自己愛なのか。
それは誰も分からない。

良い人かと思ったら悪いやつで
敵かと思った人が味方になったり、
愛する人が憎む人になったり。

前作ELLEの主人公も理解し難い人だったが、バーホーベンが描く人間は、やっぱり簡単に分からせてくれない。

でも、それが良い。
また観たいと思う監督です。