巨匠アピチャッポン・ウィーラセタクンが自身も患われた脳内爆発音症候群をヒントに南米コロンビアで撮影した新作。
彼の作品は西洋の医学や科学の見地とは全く正反対のベクトルで切り込んでくるからタイで撮ろうが南米で撮ろうが全然変わらない。ホント唯一無二の肌感であり読後感。あれ？いつまで経ってもジャングルが出てこないぞ！？って心配していても真打ち登場とばかりに最後にガッツリ出て来る（笑）
周囲を山に囲まれた首都ボゴタと現代建築の中央にポツンと配置された観賞用の中庭。こういう秀逸なイメージでメッセージを難なく伝えるのが匠の技だよね。冒頭は何の音なのかわからなかった謎の爆音が後半にはまるで大地の咆哮のように聴こえてくるから不思議。同じ音なのに違った印象を観客に与える演出が革新的。
音響技師にスポットライトが当たっている点も映画ファンからすると嬉しいよね。ラストにはその技師のプロフェッショナルなお仕事ぶりが堪能出来る、まるで老舗料亭ような繊細な味付けのしてある音のフルコースが待ち受けている。さすがアピチャッポン・ウィーラセタクン！(← 言いたいだけ)。いい耳をされてますわ😇
